協議・紛争処理

保証
ライセンサーがライセンシーに対し、「著作物が第三者の知的財産権その他のいかなる権利をも侵害するものではなく、かつ、合法的なものであることをそれぞれ保証する」といった保証条項を入れることがあります。
しかし、特許権、意匠権などは権利範囲の確定が難しいものであり、さらに公開されていないものがあるため発見が不可能なものもあります。したがって「いかなる権利をも侵害するものではな異」ことを保証することなどはまず不可能なのです。著作権の模倣・侵害や、不正競争をしていないことの保証であれば問題なくできることが多いと思われます。

また、これに関連して「第三者から権利侵害の主張、異議、苦情、損害賠償請求等が生じた場合には、らいセンサーの責任と負担においてこれを処理し、ライセンシーには一切の迷惑または損害を及ぼさない」との条項を入れることがあります。
しかしこうした場合には、ライセンシーに権利侵害であるとの警告が来ることも多く、実際にライセンサーの責任であっても結局はライセンシーの行為も権利侵害にあたる場合も多く、損害賠償請求などが認められることがあります。
したがって、すでに迷惑や損害が及んでいるのであり、迷惑をかけないとしただけで済ませるのではなく、損害が生じた際の負担方法・負担範囲などについて規定することが望ましいといえます。損害賠償・不当利得などの民法の規定が適用されるとしても、その範囲などについては争いが生じるおそれがあるためです。

協議条項
第○条(協議)
本契約に定めのない事項、または本契約について甲乙解釈を異にした事項については、双方誠意をもって友好的に協議のうえ解決する。

協議条項はべつに入れてもいいでしょう。ところで、信義誠実の原則は民法に規定されております。
法律で定める規定は、その通りにしてもしなくてもよい任意規定と、守る必要がある強行規定とがあり、契約書で強行規定を入れなくても法律に書いてあれば適用されるものは必ず士も契約書に書かなくてもよいのです。
そもそも、契約を締結するときには友好的に信義誠実の原則に則って協議していることが多いと思います。しかし契約書を後日あらためて取り出して、検討が必要になるのは、たいてい疑義が生じたり揉めたりしているときでしょう。
その際にこの条項を見て友好的だった当時を思い出し、冷静さを取り戻すにはいいかもしれません。
しかし肝心の、揉めた場合にどうするか、決めておかなかった事項がたくさん見つかってしまうはずです・・・。

紛争解決条項
第○条(紛争解決)
本契約について紛争が生じ、前項の協議によっては解決に至らない場合には、東京地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とする。

しかし紛争の内容によっては、たとえば知的財産の権利侵害訴訟であれば東京地裁がよいかもしれませんが、ちょっとしたライセンス料の支払い遅延などであれば、別の裁判管轄や、あるいは訴訟以外の手段がよいこともあるでしょう。
こうした条文を、契約の1つ1つについて、一文一文、本当に適切かどうかを見直しているでしょうか。
知的財産の紛争にしても、訴訟物の価額によっては、裁判で争っても訴訟費用に比べて勝ち取れる金額が少なく、仲裁などで解決できた方が双方にとってもよいこともあります。
たとえば、「甲乙双方は、本契約書中、第○条から第○条の事項に関しては、文化庁の委嘱する著作権紛争解決あっせん委員によってなされる紛争解決方法(著作権法105条)、または日本知的財産仲裁センターその他のしかるべき仲裁機関による仲裁、和解、調停のいずれかにより解決することに合意する。」などとしておくことが良い場合もあるかもしれません。そうしておかない方が良い場合もあるかもしれません。

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