ソフトウェアライセンスの注意点

通常の物品の納入契約において、権利移転と危険負担についての条項が設けられます。
「成果物が納入された時点において、その所有権は移転し、その後、成果物に対する危険負担は納入を受けた側が負担する」といった意味合いの条項です。

しかし、電子メールでのデータの納入や、ソフトウェアのダウンロード販売などでは、有体物としての物品の移転があるわけではありません。
したがって、民法に規定される有体物の「占有」や「所有」と同様に考えられない部分があります。
また、著作権の譲渡あるいは利用許諾がデータの移動(記憶場所の移動)を伴うとしても、データはある場所から他の場所に移ったのではなく、データが複製されて他の場所にも記憶されたということになるのが通常です。
たとえば、電子メールでプログラムのデータを送信した場合には、送信者のコンピュータに記憶されているプログラムが、複製されて電子メールに添付され、電気通信回線を介して送信されて、受信者のコンピュータに複製が記憶されることになります。

データの納入がされた後にも、元のデータは譲渡あるいは消去されずに残っているとすると、権利者ではなくなった者がデータを持ち続けていては譲渡後にも利用されるおそれがありますし、利用許諾の場合にも許諾期間終了後にもデータが残っていては不正利用されるおそれがあります。
その一方で、納入後にデータに瑕疵がないかどうかといった検査では、データは目に見えるものではなく、しかもプログラムの不具合はすぐに発見できるものではないために、特段の考慮を要します。

たとえば、データのバックアップを作成し保管する義務を負った上で、プログラムを納入し、納入した側が立会い、システムのインストールや設定を行い、動作検証をし、説明や教育を行い、システム稼動後の所定の時期に、必要な修正などを完了したうえで、バックアップデータを含め納入を完了し、所定の時期に納入した側はデータの消去や返還を行うといったように、段階的かつ慎重な方法を、事案に応じて採用する必要があります。
また、保守契約などについても別途定めることが必要になるでしょう。

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