データの所有権

プログラム、データベースなどのデータや、デジタルコンテンツのデータは、CD-ROM、DVDなどの記録媒体に格納された状態では、有形の物であり、有体物です。
しかし、有体物の納入、譲渡、廃棄などについて、通常の物品の納入、譲渡、売買などと同様に考えてしまうと契約書作成上、問題になる可能性があります。
たとえば、電子メールでのデータの納入や、ソフトウェアのダウンロード販売などでは、著作権の譲渡あるいは利用許諾が伴うことが通常ですが、有体物としての物品の移転があるわけではありません。
したがって、民法に規定される有体物の「占有」や「所有」と同様に考えられない部分があります。

また、著作権の譲渡あるいは利用許諾がデータの移動(記憶場所の移動)を伴うとしても、データはある場所から他の場所に移ったのではなく、データが複製されて他の場所にも記憶されたということになるのが通常です。
たとえば、電子メールでプログラムのデータを送信した場合には、送信者のコンピュータに記憶されているプログラムが、複製されて電子メールに添付され、電気通信回線を介して送信されて、受信者のコンピュータに複製が記憶されることになります。
すると、仮に著作権、所有権を移転させたとしても、元のデータは残ったままとなります。

ところで、著作権の譲渡等が行われれば、元のデータは譲渡あるいは消去されずに残っていても、譲渡を受けた著作権者にとって問題はないかというと、やはり権利者ではなくなった者がデータを持ち続けていては譲渡後にも利用されるおそれがありますし、利用許諾の場合にも許諾期間終了後にもデータが残っていては不正利用されるおそれがあります。
不正利用に対しては著作権の行使等は可能ではあるものの、侵害の発見が困難です。

さらに、著作権の生じないデータ、たとえば創作性のない単なるデータや、秘密情報などに関しては、著作権以外の民法や不正競争防止法でデータの保護をする必要があります。
このため、無体物についての「所有権」「占有」という概念には議論もあるところですが、ライセンス契約上はデータの所有権についての移転などを規定しておくことは広く行われています。

刑法においては、管理可能であれば情報などの無体物も「財物」に含めてよいする説や、民法と同様に「物」とは有体物のみであるとする説がありますが、電気は例外として財物して扱われ、さらに機密情報の電磁的記録の窃盗についての判例や、有体物ではないといわれている「画像データ」が有体物とみなされた判例があります。「画像データは、電子メールシステムという媒体を通して取り込んだパソコンで、いつでも再生可能な状態になることから有体物とみなすことができ、わいせつ図画に当たると解釈できる。」と判示されたものです。さらに、有体物でなければ所有権の移転を観念できないが、電気的信号である画像データの移転は観念することができるとされたものです。

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